シーサイドじいさん

シーサイドで眠るおじいさんは
ぼくのおじいさんよりもずっと年上で
どうやら魔法が使えるらしい

通りかかるとくれるキャンディは
確かにいつものよりも甘い気がした

おじいさんは時々海に潜るけど
どうやら魚と話しに行ってるらしい

それを誰も聞いたことはないから
きっと秘密の会議なんだ



どんな事を話してるんだろう



地球のことかな?
海に沈むプラスチックゴミのことかな?
海に沈むプラスチックゴミに怒った魚が
きっとおじいさんにチクったんだ
おじいさんはきっと腹を立てて
僕たちにもうキャンディをくれなくなるだろう

だって僕は一度だけ
キャンディの袋を海に捨ててしまったからね



でもそれはもう一年も昔の話で
それもほんの一度だけ



おじいさんは本当は知っているのかな
知っているのに知らないふりをしているのかな
知っているのに知らないふりをして
僕がまたキャンディの袋を捨てるのを見張っているのかもしれない



おじいさんは今日もシーサイドで知らないふりをして昼寝をしている



僕はおじいさんの顔を見るのが何だか恥ずかしい気持ちがして
おじいさんのところへはもう行かないことにした






でもおじいさんのキャンディって
とっても甘くておいしいんだよなぁ





僕はもう二度とキャンディの袋を海に捨てたりしない





だからまた
明日になったらキャンディをもらいに
あの海辺を散歩するんだ